人文科学・社会科学との連携も含めた広い領域にわたる総合的自然科学分野および学際的研究分野に関して、同志社大学の全学的な研究資源を活用した研究として、以下の5つの分野の研究テーマを募集し、1つの分野につき1件の部門研究を設置しています(必ずしも5件の部門研究を設置するわけではありません)。
- 地球資源と環境/エネルギー分野
- グローバルおよび地域の歴史と自然環境に関する分野
- 現代社会と自然・人文科学に関する分野
- バイオサイエンス分野
- ライフサイエンス分野
- 研究期間
- 2年間
- 研究テーマ
- 現在は次のテーマで研究が進められています。
ハリス理化学研究所 第12期(2025~2026年度)部門研究
A部門
研究テーマ |
その場資源利用学の創成を目指した文理横断的研究 |
代表者 |
鈴木 祐太(ハリス理化学研究所) |
共同研究員 |
西村 慎之介 (理工学部)、岩渕 泰晶 (宇宙航空研究開発機構/ニュースペース国際戦略研究所)、趙 智英 (学習支援・教育開発センター)、小畠 秀和 (理工学部)、桝 太一 (ハリス理化学研究所) |
概要 |
本研究では「宇宙環境での資源利用」をキーワードに、人的・材料的資源の限られた閉鎖系空間における持続可能な有人環境利用を実現するために必要なパラメータを人文科学・社会科学・自然科学の各観点から議論・抽出し、体系化する。宇宙環境という極限空間での資源利用プロセスを文理横断的に鳥瞰することで、地球上、特に資源の乏しい地域における新しい資源利用法を創出・運用するための知見を得る。 |
B部門
研究テーマ |
心理的安全性の効用研究:歴史のある組織(職場、家庭)や地域環境の機能と生産性の再起 |
代表者 |
余語 真夫(心理学部) |
共同研究員 |
多田 実(政策学部)、八木 匡(経済学部)、上野 大介(京都女子大学)
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概要 |
本部門研究では組織、特に歴史と伝統ある組織の中で、組織機能が停滞していたり、組織生産性が抑制されてしまっていたり、組織成員が資質・能力を発揮できない状態に陥っている事例を対象に、組織の人間関係、コミュニケーション様式を改善することによる恩恵効果を調べる(組織の心理的安全性)。また、広い意味での組織や地域環境の人間関係様式の改革による安全と安心の向上が創造的で生産的で幸福感を実感できる生活を創出していく可能性を探る。その産物として、例えば詐欺事件の被害防止、陰謀論や偽情報の信じ込みの防止、カルト宗教による洗脳の防止などが想定される。こうした人間関係様式の調整や改革による組織や地域の機能改善の学術研究を行う。 |
C部門
研究テーマ |
生成AI時代における情報教育の実践と評価:文理融合型アプローチによる教育現場からの挑戦 |
代表者 |
深川 大路(文化情報学部) |
共同研究員 |
飯尾 尊優(文化情報学部)、伊藤 紀子(文化情報学部)、阪田 真己子(文化情報学部)、大久保 雅史(理工学部)、田中 あゆみ(心理学部)、岡田 暁生(京都大学) |
概要 |
本研究は、生成AI時代における情報教育の「再定義」を試みるものであり、いわば、生成AIによってもたらされた価値のパラダイムシフトに即した新たな情報教育のあり方を提言するものである。また、情報教育が文系・理系を問わず、全ての学生に必要であることを前提にした文理融合教育の重要性を強調し、学際的なアプローチによって進める。さらに、本研究によって得られた知見を学部教育に実装し、研究と教育実践の両輪によって、効果的な教育プログラムを構築する。このプロセスを通じて、情報教育が学生一人ひとりの社会的責任感と良心を育む礎となり、生成AI時代の情報リテラシー向上の契機となることを目指す。 |
D部門
研究テーマ |
海洋バイオサイエンスの科学コミュニケーションにおける一方向的手段と双方向的手段の関係性(ブルーカーボンを題材に) |
代表者 |
桝 太一(ハリス理化学研究所) |
共同研究員 |
阿部 康人(社会学部)、一方井 祐子(金沢大学)
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概要 |
本研究は主に科学非関心層への科学コミュニケーションという視点から、一方向的手段(テレビ等)と双方向的手段(サイエンスカフェ等)の影響力および関係性を解明し、相互補完的な活用の提案を目的とする。題材として新興科学用語「ブルーカーボン」を用い、受け手の属性を考慮した両手段の効果や特性を調査・分析する。さらに、利害当事者と非当事者での科学コミュニケーションの違いにも着目し、最適なリーチ手法のあり方を検討する。 |
E部門
研究テーマ |
薬剤耐性を克服した新規EML4-ALK陽性肺がん治療薬の創製 |
代表者 |
髙橋 美帆(生命医科学部) |
共同研究員 |
元山 純(脳科学研究科)、川崎 清史(同志社女子大学)、西川 喜代孝(生命医科学部)
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概要 |
遺伝子転座によりEML4-ALK融合タンパク質を発現する肺がん細胞では、チロシンキナーゼALKが恒常的に活性化し異常な細胞増殖が誘導される。現在、ALKのキナーゼ活性を阻害するチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が有効な治療薬として用いられている一方、TKI耐性体の出現が大きな問題となっている。本研究では、1) TKIの標的であるALKのATP結合部位ではなく、酵素の高度認識に関わる基質認識部位を標的とし、2) EML4-ALKが二量体を形成することでALKが常時活性化状態にあることから、二量体を効率よく阻害すること、本条件を満たす阻害剤を多価型ペプチドライブラリー法により同定し、TKI耐性体にも効果を示す治療薬開発を目指す。 |